無料や自作の順番待ちシステムって実際どうなの?
Saasやサブスク市場では現在無料や自作のツールが溢れています。順番待ちシステムにも市場の盛り上がりを受け多くの新規参入社が増えている一方で無料や低価格、中には自作ツールをウリにしているサービスまで登場しています。
コンサルティングをしていた頃、企業からも多く寄せられたのがこの無料や自作ツールに関しての相談であった。
「これってどうなの?」については、実際自社で導入してみないことには分からないのと、メリット・デメリットは会社の優先順位によって違うため一概に判断できない。ここでは関係者から聞く話を中心とした一般的且つ客観的なメリットやデメリットを紹介しておきたい。
結論から言うと、無料ツールや自作ツールを利用してみる場合は、そのツールを提供する企業の規模やセキュリティへの投資レベル、無料の範囲で受けられるサービス内容(標準機能、SLA、オプション等々)を詳しく精査してから利用することをおすすめする。
起業後間もない【失うものがない】フェーズでは無料版の価値は高い
新しいツールやシステムを試してみたいという要望に対して初期費用や維持費がかからないという部分はベンチャーや資金が限られる中小企業にとっては大きなメリットであり、試してみる価値はあると感じる反面、それは導入企業側のステージやフェーズ、企業規模、社会的立場によって変わってくる。
起業したばかりで顧客含め特に失うものはなく、利害関係者もまだ少なく、多少のリスクを背負ってでもチャレンジしたいという場合には無料で利用できるツールを探してみるのも良いだろう。
一方である程度規模のある企業がリスクや個人情報を提供してまで無料サービスを利用する価値があるかというと、そこは賛否両論であろう。私的にはあまりおすすめはしない。無料サービスを受けることで逆に失うリスクとのバランスを見て判断する必要がある。
無料サービスには先ず製品自体が完成版でない場合も多く含まれている。無料で使ってもらい不具合や失敗、フィードバックをその利用者や企業側から得て機能改善を重ねるというパターン。
よくあるのが、完成していないツールを無料で使う代わりに企業ロゴやブランドロゴを導入事例で使ってよいかという交換条件を提示してくるパターンにも注意が必要である。
一部であれ不具合の多い製品や顧客からもクレームが出ている製品の導入事例にロゴが掲載されてしまっては企業の信用度に影響を与えるリスクもある。無料版であっても必ず品質の精査をした上で導入することが重要である。
結局は「3方よし」になっているかが重要
また、モニターとはいっても実際にシステムを利用するのは施設というよりは「消費者」であることを絶対に忘れてはならない。
施策側が無料で使える。という1方向だけの利点だけを見て、万が一施設側や消費者側に事故や不具合があった場合の保証内容、賠償範囲などは事前に説明を受け合意形成を図ってからから利用を開始することをおすすめしたい。
結局の所、施設にとっても消費者にとっても、ツールを提供する企業側にとっても「3方良い」環境になっているかがツールやシステムを導入する担当者側が一番重要視すべき部分であり、それが継続的な安定稼働や消費者にとっての利便性、施設側の負担軽減にとって最も良い環境を整備していけるのではないかと考えられる。
もちろん無料版や自作ツールによってそれが実現できればそれに越したことはない。
※調査した限りでは無料でアカウントが開設、利用開始できる製品の中には、社員の個人情報やクレジットカード情報を登録させ、実際に必要な機能を使うと料金が発生するなど実質的には無料ではない製品も存在したので注意して欲しい。
無料、まずはお試し、トライアルなどを全面に訴求しているサービスは製品や機能、サービス内容に自信がないなどの理由で導入障壁となるコストを下げて訴求している場合も多く、導入施設側としてはそこを先ず精査し見極める必要があるだろう。