CONCEPT
比較困難な順番待ちシステム選びをもっと身近に分かりやすく
順番待ちシステム比較.Bizでは、大手から中小、スタートアップなど多くのプレイヤーが各業界向けに展開している様々な順番待ちシステムに関して、主に外食、理美容、商業施設、自治体の行政窓口など国内でも利用頻度の高い業界にフォーカス(※)し調査分析結果をまとめております。
市場には無料や自作の順番待ちシステムを提供するものや有償ではあるもののしっかりとした機能や性能、サポート含めたサービス品質を担保している製品まで数多く存在しています。
各施設において順番待ちシステムの導入意思決定材料とされる項目、RFP:Request for Proposal(提案依頼書)素材として採り上げられる頻度の高い情報を中心に各システムの
1.実績(規模・シェア)
2.信頼性(事業継続・リスク回避)
3.機能性(充実・拡張性)
4.集客効果(会員基盤)
5.コスト(パフォーマンス)
6.保守サポート(品質・持続性)
の6つの観点・項目に対して5段階評価をしています。
結果をレーダーチャート化し、定性コメントを付加する事で各システムのSWOTを分かりやすくまとめました。
順番待ちシステムの導入を検討する際のRFP参考情報となれば幸いです。
※同サイトにおける評価基準、結果等に関するへのお問い合わせにつきましては回答しかねます。予めご了承下さい。
※機器、機能、価格、システム構成が施設・用途により違いが大きく、同一指標での比較が困難な医療業界など特殊な業界に特化した機器に関しては当サイトでの比較対象から除外しております。ご了承下さい。
※ここで取り扱う順番待ち受付システムとは、整理券や番号札をスタンドアロンタイプの発券機を使って発券したり、モバイル端末などを使いデジタルで発行する機器またはウェイティングシステムの事を指しています。
順番待ちシステム比較.Biz
サイト運営事務局
順番待ちシステム厳選22社比較まとめ
ランキング上位機種
ベスト5
ここでは国内主要約30社の順番待ちシステムを比較し分析した結果(総合点)をSumally版として上位機種5位まで抜粋し紹介しています。
情報は抜粋し短時間で読める内容にまとめています。全ての機器に関して、分析結果詳細をお知りになりたい方は関連(順番待ちシステム分析結果詳細)記事、国内主要順番待ちシステム22選比較較一覧、国内順番待ちシステム勢力図まとめ記事などをご参照下さい。
また各システムの導入事例のリンクも設置していますのでご活用下さい。
更に詳しい情報や資料請求、お見積もり等が必要な際は、各システム提供企業お問い合わせ先へのリンクボタンを設置しています(以下では上位5機種のみに限定し問い合わせボタンを設置していますが、その他の企業への資料請求などが必要な場合は各社公式HP(順番待ちシステム詳細紹介ページ)へのリンクまとめ一覧をご参照下さい。)
1位 EPARK
業界のパイオニアが総合力で他社引き離す
総合評価:93点
アナリスト総合評価
順番待ちシステム業界最古参のパイオニア企業。20年以上の順番待ちシステム業界での実績は信頼の証と言える。同社資料では他業種も含めると導入規模は約10万施設。特に外食産業における国内シェアは圧倒的と見られる。導入規模、事業継続年数が長い分、システムインフラ、機能開発、サポート保守体制構築への投資ができており、安定稼働とサポート品質、機能充実度が他社との差別化になっているようである。
戦略面での他社との違いは固有の業界に特化したグループ各社を設立し、各業界に合わせた独自機能を盛り込んだ開発体制を敷いている点。同じく業界毎に特化した自社販売網とサポート保守体制も構築整備されている。特に飲食業界のように柔軟且つ臨機応変なサポート保守が求められる業界においては強さを発揮するであろう。特にサポート保守領域では基本サポートプランから全国即日駆けつけといった上位のオンサイト保守サービスまで顧客の環境やニーズに合わせ設計されている。公式サイトを見ると、国内で唯一順番待ちシステムで政府委託事業に参画するなど順番待ち業界のパイオニアとしての地位を確立している事が伺える。
一方で品質が高い分、気になるのはコストだが敢えて非公開としている理由も公式サイトに明記されていた。企業毎の環境に合わせてカスタマイズした提案が業界専属のオフィシャルサプライヤーから受けられるとしたことから、事前に自社の要望や環境を正確にコンサルタントに的確に伝えることが適正価格を引き出す上で重要である捉えた。ただ、品質と比例して安くはないことは確かである事からコスト面では平均的な3点をつけている。ここは導入施設側が、商談時にどこまで詳しく用途や環境、設置条件、導入規模感をメーカー側に情報提供し最適な提案を受けられるかに依存。コストパフォーマンスを引き上げるのはある意味導入施設側次第でもあるとも考えられる。
また、同社のスタンドアロンタイプの順番待ち発券機は店頭での視認性が高いことが特徴である。コンパクトタイプの他社製品と比べると見やすい、操作しやすいとして幅広い年代の消費者からも評判も高く、様々な年代が利用する官公庁関連窓口でも実際に導入されているようである。
機能面においても業界毎に必要な機能が洗練されている。業界関係者からの情報によれば、他社に先駆けた次世代機のリリースを着々と準備しており、順番待ちと席予約が1台で補完できる国内初の画期的な機器との情報も噂されている。リリースを期待したい。
現時点では技術開発力、特許(知的財産保護)、機能、実績、サポート品質、支援体制、インフラともに業界でも頭1つ突出し、2位以下を大きく引き離しているとみられる。
また億レベルの月間PVを誇る自社プラットフォームを保有しており、システムを導入し加盟店となればメディアに掲載可能という点も自社集客網以外からの集客も期待できる点で他社にはないEPARK独自のメリットであろう。
システム検討段階に於いて必要となるFAQ情報も同社法人向けサイトに細かく列記されており、大手リクルート社と並び充実している。問い合わせ前に基本的な疑問は解決可能となるようにQAも整備されており、実績と経験の深さを感じる(https://epark.mbtn.jp/landingpage/qa/)。同サイト内には業態別に詳細なインタビュー記事や導入事例紹介も掲載されており非常に分かりやすく、ケーススタディがイメージしやすい。導入検討企業側にとって最も必要とする現場での利用シーンや用途、成功事例の情報量が充実している点はありがたい。
特許保有件数も業界最大規模であり、大手企業や自治体でも知的財産権の侵害リスクを心配する事なく安心して導入検討できる点は大手には特にありがたい。
2位 Airウェイト
新興勢力No.1アプリタイプで市場創出
総合評価:77点
アナリスト総合評価
企業規模や情報セキュリティ、知的財産権への取り組みなどは業界首位のEPARK同様、全社をあげて取り組んでいる点はさすがであり、国内有数の上場大手企業の安心感はある。
システム面でのアップデートも常時行われており新しい機能の追加・更新も定期的に確認できる。順番待ちシステム(エアウェイト)はエアレジの一付帯機能となっており、国内数十万アカウント数を抱えると言われてるエアレジを基盤としている。ただ、順番待ちシステムだけに特化していないため機能面では首位のEPARKと比較するとより汎用性を重視してか標準プランでは最低限に集約されている。オプションで従量課金や月額追加料金をアドオンすれば使える機能も増えていく。ここは必要な機能が標準装備されているか、またオプションであれば月額どの程度になるかといった観点で用途に応じた精査が事前に必要となる。
アプリをインストール次第すぐに利用可能な反面、敢えて課題があるとすれば、消費者の利便性や店舗側従業員の負担経験を追求していくには利用プランの引き上げや従量課金サービスをアドオンしないと担保出来ない点。結局使い込むと他社と同等かそれ以上の月額利用料が必要となり、Airレジをキーとしたリクルート経済圏の中で自社のビジネスを展開していく事からは逃れられない点は前提として受け入れる必要があろう。さすが入り口の障壁を下げ経済圏でライフタイムバリューを向上させていくリクルートのビジネスモデル設計である。そういった中長期的な視点でメリット、デメリットを見極め選定をしたい。また、EPARKのような消費者向けの順番待ち専用のブランドのみに絞った専用LPや飲食だけでなく、医療や薬局といった多業種横断でのプラットフォーム(メディア)がないこともあり、導入施設側が自店舗の会員数を伸ばす手段が自助努力のみに限られてしまう点なども考慮する必要はある。事業開始までだけでなく、事業開始後の集約面のコストも加味して総合的に判断する必要もあったとした意見も利用を開始した店舗からは聞かれる。
ただ安く手軽にお試し感覚で使い始める点では非常に向いており、手厚いサポートや機能も必要ない、ネットリテラシーやシステムリテラシーの高い従業員を自店舗で抱え、ある程度のことは解決できる店舗には向いているサービス設計となる。最近はそういったリテラシーの高い店舗が多いとも言われており時流に適しているとも言える。
また、CRMやリピーター獲得販促機能も集客同様に弱い部分となる。リクルート社として国内数千万人規模のPonta会員基盤を有効活用できる環境がすでにあるにもかかわらず、EPARKのように順番待ちシステム導入施設側にとってそのような会員基盤を最大限活用できる仕組みが加盟店に提供されていない点は非常に惜しいと言わざるを得ない。
アプリ型となり、インストール後はすぐに利用開始可能。初期運用コストを抑えている反面、保守サポートもSLAを明確にしており、即時臨機応変な対応を求められる飲食店のような施設にとっては多少受け入れ難い部分はあるかもしれない。従業員がマニュアルを見ながら使い慣れるまでにはある程度の時間は覚悟する必要はある。
ただ順番待ちシステム業界を2分するシステムの1つであることは確か。検討の選択肢にはEPARK同様、必ず入れて比較検討すべきシステムの1つといえる。
3位 matoca
LINEミニアプリ基盤活用でカフェを中心に施設増
総合評価:70点
アナリスト総合評価
LINE基盤(国内アプリインストール数)を最大限活用できる点では優位性があるが、その基盤を活用した販促やCRMはLINE@の従量課金プランに依存する点は悩ましい。開発力を強みに徐々に導入施設数は増えているが、社員数も限られることから障害発生時など保守サポート即時性とカバー領域で不安は残る。
初期導入費は安価な一方、基本プランから足が出る部分も多く、オプションも加味したランニングコストを考えておく必要はある。
セキュリティ面では基盤をLINEに依存していることからメーカー保守メンテナンスだけではどうにもならない部分も多く、直近で発生したLINEの個人情報問題発生など大きな波に左右されるリスクも視野に入れて検討する必要はある。
一部機能面では大手の特許技術を活用している部分もあるのではないかとも懸念されるものの、資本関係を見ると実はEPARKグループ企業の1社となっており、ある意味グループシナジー、グループメリットを優先して黙認されている可能性もある。グループとして良好な関係が維持されている間は導入店舗側としても訴訟や使用停止、風評被害などの面で大きな心配をする事はないものと推察される。
一部商社が同システムの販売を開始したとの情報があり、今後それら販売代理店を通じた販路拡大が見込まれている。しかしながら代理店の順番待ちシステムに特化した販売実績やコンサル経験年数、サポートノウハウという観点ではどこまで行っても代理店であり、心もとない部分は否めない。今後は代理店網の拡張よりは、どこまでメーカーとして責任の持てる自社の組織を拡大し、特にアフターサービスを中心としたバックヤード領域の支援体制に投資強化できるかにかかっている。
4位 ネコの目システム
燻し銀の老舗ブランド
総合評価:60点
アナリスト総合評価
20年以上も順番待ちシステム関連事業を継続している点では信頼に値する。
機能については必要最低限に集約されており発券に限定した用途であれば十分事足りる。上位2社と比較すると販促面や集客、CRM部分の機能拡張性は弱い。
官公庁関連機関向けでは一定のシェアを保有。しかし、飲食店など民間企業でのシェアは導入事例でもほぼ確認できず。
事例公開が限られ導入企業側の生の声が把握しづらいのが難点であり、実際のシステム安定性は客観的には推し量れないが、順番待ちシステムは混雑時(大量のトラフィック発生時)にいかにして事故なく安定稼働を継続できるかが重要となる。インフラ面への投資状況や冗長化対策、365日サポート体制などが整備されているかなど特にバックヤード部分の情報精査は商談時には事前に要確認となる。
4位 ウェイティングシステム
コロワイドグループシステム開発会社WPCが提供
総合評価:60点
アナリスト総合評価
コロワイドグループ内の回転寿司や焼肉など業態毎にカスタマイズしたシステムを開発し提供。
機能は利用シーンを優先した開発によって洗練されており、進化のスピードも早い。
一方、グループ内店舗数だけでは、他社システムと比べて規模の原理が働きづらく、導入の際は一定の開発・維持・保守サポートコストの負担増は避けられそうにない。
また、スシローやくら寿司といった同業界大手のシステムが既に実装している類似機能が多く含まれるが、同社または導入先となるグループ企業がそれらの特許を保有していないことから知的財産権領域のリスクは他の機器よりも高いと見られる。
グループ外の企業が導入を検討する場合には特に知的財産権分野の入念な事前調査とリスクヘッジ対策が必須となる。
また、現在の所はコロワイドグループの一部ブランドへの提供体制に限定されており、当然ながら規模感は上位二社と比較すると圧倒的に少ない。しかし、システムの実稼働数の規模感は安定稼働には欠かせないサーバーやインフラへの投資規模にも比例する重要な要素。その課題が露呈したのは2021年にかっぱ寿司が実施した半額セール実施時に発生したサーバーダウン障害。当時報道でも取り上げられ、SNS界隈では一時順番待ちが出来ないなどのクレームコメントが検索トレンド入りするなど、結果ブランドやキャンペーン自体の評価を大きく下げる事態となってしまった。これはかっぱ寿司が大きな損害を受けた事例だが、システム提供元が同じコロワイドグループということで訴訟などには発展しなかったが、親子関係がない外部企業の事故となれば損害賠償請求は免れなかったであろう。安定稼働を支えるインフラ整備はコスト面での体力、事業継続実績による経験値、インフラ、システム自体の冗長化等リスク対応レベルの3点が揃わないと実現しない事がこの事故によって世の中に可視化された良い事例である。企業側としてもよりシステムインフラへの投資規模がいかに需要かを痛感したに違いない。
同時にシステム選定者側が冷静にコストと品質のバランスを見極め、必要な部分に最適な投資できているのか、実績年数は、安定稼働実態はどうか、妥当な投資額を担保しているか等インフラ部分でのコスト感覚を身につけてシステム選定に臨むべきであるという教訓にもなった。同社の今後のインフラ面での更なる投資強化に期待したい。